White X'mas


「クリスマスぅ〜?」
 ギブソン・ミモザ邸のテラスで褐色の肌の少女が金髪の男と並んでケーキを食べている。
空は快晴で、午後の日差しが暖かい時間帯だった。
『明日はクリスマスだね。』と言った金髪の男は少し驚いたものの、すぐに平静に戻る。
「ああ、ルゥは知らないんだったね…。」
「何それ?ギブソンさんの好きなケーキの名前?」
 ルゥと呼ばれた少女は首を傾げてギブソンを見る。
ギブソンは苦笑しながら紅茶をカップに注ぐために立ち上がり、テラスから外を見て手招きする。
「ちょっと来てごらん。」
「?」
 ルゥが立ち上がりギブソンの隣に並ぶと「ほら」とギブソンが遠くを指差す。
遠くには、大きなモミの木が立っていた。
「うわぁ〜…おっきな木…あれ、何に使うの?」
「置いておくだけさ。飾ってランプを使って光らせて夜のゼラムを彩っているんだ。」
「へぇ〜…。」
 ルゥは落ちない程度に身を乗り出してモミの木を眺めていた。
ギブソンはそんなルゥを見て微笑した後「さっきの続きだが」と続けた。
「クリスマスというのは、ああしてツリー…モミの木を飾ったり、家族や友達、恋人と過ごしたりする日のことなんだ。」
「そうなの?」
 てっきり新種のケーキの名前だと思っていたルゥはちょっと残念がった。
それを横目に見ながらギブソンは続ける。
「それと…サンタクロースが来る日でもあるんだ。」
「…さんたくろーすぅ?」
 次から次へとわけの分からない言葉が出てきて困惑しているルゥを見て、ギブソンは説明してやる。
「あぁ。サンタクロースは年に一度、特別なことをした子のところにプレゼントを持ってきてくれるんだ。」
「プレゼント!?」
 その言葉にルゥの目が輝く。
「何をしたら良いの?!」と意気込んで訪ねてこられたのでギブソンはテラスのてすりにもたれかかりながら答える。
「あ…あぁ…良いことをした子供のところに来るんだ…。」
 ルゥはもう子供じゃないだろ、と言おうとしたギブソンだったがその時にはすでにルゥの姿は走り出していた。
「ギブソンさんはミモザさんと仲良くクリスマスしてねー!!!!」と叫びながら。
「……。」
 その言葉に顔を赤くしながらギブソンはてすりから離れる。
「ケーキでも食べようか…。」
 気を取り直してパッフェルが持ってきてくれたケーキを食べるためにテーブルの方に向かう。
彼は気付いていなかった。
 これから起こる出来事の発端が、全て自分にあることを。

「良いこと…良いこと…。」
 屋敷の廊下を歩きながらルゥはぶつぶつと呟いていた。
((良いことって…何をしたらサンタクロースが来てくれるのかしら…?))
 ギブソンにそこまで聞いていなかったルゥは、ただひたすらそれだけを考えて歩いていた…
ドンッ!!!!
「きゃっ!」
「へっ…きゃぁぁぁっ!!!!」
…ら、人と激突した。
 盛大にぶつかったせいで尻餅をつく。相手も同じく尻餅をついたようで「いったーい!!!」とお尻をさすっていた。
「ちょっと!何ボーっとしてんのよ!!!!?…ってルゥ?」
「…ミニス?」
 相手は金髪の少女だった。高価なキルカの服を着て、それとは不似合いなリボンを胸元に付けている。
ルゥは立ち上がってその少女―ミニス―に手を差し出した。
「ごめん*2ちょっと考え事してたから…。」
 ミニスは頬を膨らませながらもルゥの手を借りて立ち上がり「考え事?」と聞いた。
「うん…そうだ!ミニスなら知ってるわよね?」
 そういうや否や、ミニスを起こすために掴んだ手を引っ張り部屋まで連れて行く。
「へっ?ってルゥ!!!?」
「いいから*2♪」
全然良くない!というミニスの心の声は完璧に無視され、ミニスはルゥの部屋まで連れて(拉致)いかれた。

「良いこと?」
「そうっ!良いことしないとサンタクロース来てくれないんでしょ?」
 寒いので暖炉に火をつけて、二人で紅茶を飲みながらルゥは今までのいきさつを話した。
ミニスは「うーん…」と考え込んでから
「ルゥは大人じゃないの。」
と突っ込んだ。

ナイス突っ込み(グッ
っていうかギブソンさんも何でそこに突っ込まないのかしらね…?by ミニス
…色々あったのさ by ギブソン

「良いの!良いことしたらきっと来てくれるもの!!!!!」
 どこからそんな自信が湧いてくれるのか、ルゥはそう断言する。
そんなルゥの意気揚々とした姿を見てミニスはルゥの説得を諦めた。
「はぁ…分かったわよ。」
「本当!?」
 だから、強硬手段(?)に出た。
「雪を降らせて。」
「雪?」
 ゼラムには滅多に雪が降らない。ついでに、今日も明日も明後日も雪が降る気配は無い。
「そうよ。あたしの願い叶えてくれたらそれだけで良いことでしょう?」
 意地悪く笑ってミニスが言う。
現実的な彼女はサンタクロースが存在しないことを知っている。
だから言ったのだ”絶対に実行不可能なこと”を。
((これならサンタさんがいなくてルゥがショック受けることもないしね))
 だが、彼女は諦めなかった。
「分かった!雪、降らせてあげる!!!!!」
「ありがとう!…って、どうやって?」
 お礼を言っておいてそれはないだろうと思うがミニスは思わずそう聞いていた。
ルゥは「ふっふっふv」と怪しく笑い。
「待ってなさいよー!!!!サンタクロースー!!!!!」
と叫んでいた。

 怯えるミニスを部屋に残したまま、ルゥは裏庭に出た。
「この辺かな?」
 花などがない開けた場所に立ち、大きく腕を広げる。
「あーいうおかしなことをやってくれそうなのはやっぱり悪魔よね♪」
そんなことを呟きながら鼻歌交じりで呪文を詠唱。

何で悪魔…
だぁって、天使じゃ役不足(何故か自信満々)by ルゥ

「古の誓約において…アフラーンの一族が命じる。」
 鼻歌を歌うのはそのままで両腕を天に高く掲げる。
「いでよ!魔臣ガルマザリア!!!!!!」
キィィィィンッ!!!!!
強烈過ぎる召喚獣を呼込んだせいで屋敷の壁が少し剥げ、花が吹き飛ばされて飛んでいったがそんなことはお構いなしだ。
 大きすぎる光が裏庭を白く包んで、一体の悪魔を顕現させた。
「……?」
 悪魔は周囲を見渡し、ルゥに向けて首を傾げる。
『ここ、戦場じゃないよ?』とでも言いたげに。
 意思疎通が出来るルゥは、そんな召喚獣の心の問いかけに気付いたようでにんまりと微笑んだ。
「うん。今回は戦ってもらうんじゃないのよ…。」
「?」
 ますます困惑した顔でルゥを見るガルマザリア。
「ねぇ…ガルは雪を降らすこと出来る?」
 高位な悪魔を捕まえて『ガル』という呼び名はどうかと思うが、今それを突っ込める人間はどこにもいなかった。
ガルマザリアは少し考え込んでから、こくんと頷いた。
『何すんの?』と疑問をぶつけることも忘れずに。すでにガルと呼ばれることには口を差し挟まないようだ。
「うふふ〜☆明日のクリスマスに雪を降らせてサンタクロースからプレゼントを貰うのよ!」
 これこそ大望!とでも言いたげにルゥが胸を張って答える。
…ガルマザリアにはやはり意味が分からなかったようだ。何せ理由が割愛されすぎている。
 早くサプレスに戻りたかったので、仕方なく呪文を唱える。
すると、快晴だった空が曇りいかにも天気が悪い状態になり…気温が一気に低下した。
「寒ーい…。」
 普段肌を露出しすぎているルゥにはきつかったようだ。用事を終えたガルマザリアを送還すると急いで屋敷に戻る。

「ミニス!」
「ルゥ!あなた本当に雪を降らせるの!?」
 部屋に戻ってきたルゥをミニスが出迎える。ルゥが何をするかを知らないミニスは部屋から出るに出られない状況だったのだ。
「もちろん!これで明日はちゃんと雪が降るわよ!!!ああ…サンタクロース…何くれるかなぁ?」
 すっかり自分の世界に入っているルゥを見てミニスは唖然とした。
外は薄暗くなり、気温は急低下。
 これは間違いなく明日雪が降る兆候…というより、今すぐにでも降りだしそうだ。
((まずいわ…))
 焦ったミニスは最も重要な部分に触れてみた。
「ルゥはサンタさんに貰うなら何が欲しいの?」
「え?えっと…ケーキ!たくさん欲しいのよ!!!!!」
 普段ケーキ屋のケーキ全品食べているルゥがそれを言うと、世界中のケーキが集結しないと間に合わない。
そんな怖い想像がどんどん膨らんできたので、ミニスは回れ右をしてダッシュで部屋まで帰った。
「ああ、ケーキ…vvって、ミニス?」
 ルゥが気がついたときにはとっくにミニスの姿は無かった。

―翌日―
 雪は本当に降った。
それはもう大量に降ったせいで作物は大打撃、雪に慣れていないゼラムの住人は滑ってこけたせいで千人単位で重軽傷を負い。
国王はいきなり降って来た大量の雪を見て、急いで四源の泉に行ってエルゴに祈りを捧げたりしたり。
一日のうちでかなりの被害が出た。
 でも…
「サンタクロースはまっだかな〜♪」
 ルゥには関係なかったようだ。
廊下をスキップで歩いていると、アメルに声を掛けられる。
「ルゥさん、何か良いことでもあったんですか?」
「アメル!今日はクリスマスだから嬉しいの!!!!!」
 アメルの方を向きながらとびきりの笑顔で笑うと、アメルも釣られて笑う。
「そうですね…今年はホワイトクリスマスになりましたし。」
「ホワイトクリスマス?」
 クリスマスが白い理由が分からず首を傾げるルゥ。アメルは「知らないんですか?」と少し驚きながら説明してやる。
「クリスマスに雪が降ったらその日は『ホワイトクリスマス』って言うんです。
 別に何が変わる訳じゃないですけど、すごくロマンチックでしょう?」
 アメルは楽しそうに笑い「それじゃぁ、クリスマスパーティーの準備があるので」と言って去って行った。
「ホワイトクリスマスかぁ…。」
 ルゥは窓の外の雪を見て呟いた。
「確かにロマンチックかもしれないわね…。」

「メリークリスマス!!!!!」
パーンッ!!!!!!!!!
 景気良くクラッカーが鳴らされ、クリスマスパーティーが催された。
クリスマスをよく知らないルゥだったが、目の前に出てきたケーキを見て「サンタクロースだ!!!!!」と誤解したのは言うまでも無い。
フォルテは暴れてケイナに沈められ、酔ったネスティはひたすら他の人間に絡み。
 ミニスは腰を追ってひたすらイオスを見て怪しい笑いを洩らしていたが。
皆、楽しいクリスマスを過ごすことが出来た。
 こうしてゼラムを飲み込むほどの雪騒動は幕を閉じた。
数多くの犠牲と、とあるパーティーの幸せを残して。


Merry X'mas!!!!


++あとがき++
フリー配布小説(二次創作では)第二弾です。
…DL版を作れない櫻をお許しください(涙
コピーして持って帰っていただけると嬉しいです。
というか持って帰ってくれる人がいるのかが謎です。
ルゥを主役に…って長いくせに内容薄い話しだなぁ…とか思ったり。
まぁ、それは愛嬌で(死

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てなわけで(?)、櫻さまから、サモナイのクリスマスフリー配布小説を強奪してきましたぁvv
ル、ルゥが可愛すぎますです・・・・!!
召還獣に雪を降らせるなんて、頭の固い私には到底思いつきません。
素敵な小説、ありがとうございました♪


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